九州大学 大学院工学研究院 材料工学部門 結晶塑性学研究室

研究内容/生きている金属。その動きをとらえる『材料の変形と破壊を科学する』

金属は生きている。内部には多様な動きがある。

この動画は金属内部の様子を映したものです。
じわじわと中央で動いてみえるのは、いま、まさに変形をおこしているところの境界線です。金属は外部から力を受けると、内部では特徴的な動きをします。その動きは材料によっても、温度によっても、さまざまなふるまいを見せます。
金属は一見、静かに止まっているように見えますが、実はその内部では多様な動きをしているのです。私たちはその金属内部の動きに注目し、動きを捉えようとしています。

破壊を知ることは、安全を知ること

自動車や航空機、建築物など、私たちの身の回りにあるモノはすべて材料でできています。材料は使っているうちに劣化し、いずれは壊れます。それは言い換えれば、材料に力や熱などがかかることによって、わずかな変形が起こり、それがしだいに大きくなって破壊に至る、ということです。
このような「変形-破壊」が起こるとき、材料の内部で何が起こっているのか。
この動きを科学的に明らかにすることが私たちの研究テーマです。破壊のメカニズムを明らかにすることは、「安全な」「壊れにくい」材料を開発するために役立つ、重要な指針となるのです。
具体的には、材料を色々な条件で変形・破壊させ、その時に得られる情報から材料内部で起きている現象を理解しようと試みています。液体窒素温度(-196℃、77K)や時には液体ヘリウム温度(-269℃、4 K)で試験を行っています。

最先端の「見る技術」を使いこなす

材料の内部のようすを知るためには、ナノレベルで材料組織を観察しなければなりません。
九州大学の超顕微解析研究センターには、世界屈指の能力を持つ超高圧電子顕微鏡(high-voltage electron microscope: HVEM)を始めとする最先端装置があります。変形や破壊が起こる際に、材料の内部がどのように変化するかを見るためには、このような最先端装置をいかに使いこなすかが大きなポイントです。私たちは、材料の構造に合わせて最適な画像を取得し、その情報を総合的に解析する研究にも取り組んでいます。思いがけず、従来見えなかった新たな現象に出会うこともあります。ナノレベルの世界をのぞけば、そこには新たな材料の世界が広がっているのです。


HVEM(JEM-1300NEF)

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